現在2年生の国語では、太宰治の『走れメロス』を読んでいます。長年小説教材として教科書に採用されており、多くの人が国語の授業で読んだ経験のあるであろう、言わずと知れた大名作。太宰治という作家名も、『走れメロス』という作品名も、ほとんどの生徒が「聞いたことある!」「知ってる!」という反応でした。
今日は、メロスが王との約束を果たすために村を出発し、自身が処刑されるまでの猶予をもらう身代わりに置いてきた親友フィロストラトスが待つシラクスの町へと急ぐ場面についての学習でした。道中いくつもの困難とたたかうメロス。情景の変化とともに心情も大きく変化していきます。本文の語句を根拠にしてその変化を読み取るために、今回は心情曲線を活用しました。心情曲線とは、場面ごとの登場人物の心情の変化を、グラフのように視覚化して表したものです。「この場面では、この言葉があるからメロスの心情曲線はポジティブな上向きなんじゃないか」「ここは『ふてくされた根性』と書いてあるからネガティブな心情で下向きなんじゃないか」と、グループで考えを共有することができていました。
私が想定しているよりもはるかに充実したワークシートに仕上げている生徒もいて驚きましたし、又、他の生徒もそれを見て気づきや学びを得ている様子がうかがえました。見えないものを、見えるものから限定して推し量り、想像し、捉える力は、文章読解に限らずいろいろな物事を考えることに有効です。引き続きがんばっていきましょう。
次回は、シラクスの町へ急ぐメロスの「私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。」というセリフについて考えます。